様々な人があつまるバイク便業界

 

みなさんこんにちは。

代表の平下です。

前回バイク便の思い出シリーズ第２話を投稿してからもうすぐ２年が経とうとしていました。

すっかりこのシリーズを忘れていたのですが、せっかく思い出したので３話を書こうと思います。

さて、バイク便業界は業務委託で働く方が多く、会社員などに比べ自由がきくため色んなタイプの人間が集まります。

今日は今までに出会った一癖も二癖もある人達の事を思い出しながら書こうと思います。

 

いつの間にか消えていく人達

 

前回の大事故から奇跡の復活を果たした私は少しずつ地理も覚え、自分なりの走り方も身に付けてきていました。

基本的にイケイケだったのですが、事故を反省してそれからはトラブルも無く順調に仕事をしていました。

そして同じ会社の人達とも打ち解け始めてきた頃、こんな会話が多くなっている事に気が付きました。

 

「あれ？最近〇〇さん見かけないけど知ってる？」

「ああ、彼ならこの前免停になって辞めたよ」

 

他にも「事故って辞めた」とか「突然バックレた」とか、昨日まで普通に会話してた人が翌日から居ない事は日常茶飯事でした。

そんな中で特に印象に残る辞め方だったのがZZR1100のC型で配達していた方でした。
当時普通２輪免許しかなかった私はあんなにデカいバイクで凄いなぁと密かに憧れていたのですが、その人も突然消えた一人でした。

 

証拠品の札

 

ある日の朝、私が事務所に行くと隣のメンテナンス場兼休憩所に彼の白いZZR1100がど真ん中に停められていました。

しかし本人の姿は無く、不思議に思いながらバイクに近づくとハンドルに小さな札が付けられていて、見ると赤い文字でこう書かれていました。

「証拠品　〇〇警察署」

驚いて近くにいたメカニックに聞くと驚きの答えが・・・

 

「彼は逮捕されたよ。交通違反で警察に追われたんだけど散々逃げ回ってようやく撒いたのに、２時間ぐらいしてまた見つかって結局捕まったんだって。しかも逃げた理由が免停中だったからで、無免許の現行犯で逮捕だとさ。こんなデカいバイク動かせないと邪魔でしょうがないよ」

 

バイク便は当然免停中は仕事が出来ません。

なので彼は免停中なのを会社に黙って仕事を続けていたのです。

そして検挙され免許取り消しとなり、彼はそのまま消えていきました・・・

 

人を笑っていたら自分が事故る人

 

 

当時私は１８歳の夏を迎え青春真っ盛り。

そしてその人は焼けた肌とロン毛がチャラいスーパーフォアに乗る１９歳でした。

ある日私がR246の青山辺りを走っていると彼が後ろに居るのに気が付きました。

渋滞しているのですり抜けしていると少し距離を置いて彼がついてきます。

その時右側に居たダンプが左に車線変更しようとしたので、私は普通に減速してやり過ごしてまたすり抜け再開し、行き先が違う彼とはその先で手を挙げて別れました。

その数日後、事務所で待機中に談笑していると彼が突然話し始めました。

 

彼「そういえばさ、この前R246でコイツの後ろについてすり抜けしてたんだけどさ、ダンプに突っ込みそうになってフルブレーキしてやがんの！マジダッセェ！（笑）」

私「は？ダンプが車線変更でウインカー付けたから普通に減速しただけじゃん」

彼「まあまあ（笑）お前はヘタクソなんだから無理すんなって（笑）」

私（なんだこいつ・・・）

 

私からすると彼は車線変更時のアクションが急で動きも非常に大きく無駄な動きが多く、お世辞にも上手い人には見えなかったのですが、めんどくさいので黙っていました。

そしてそれからしばらくすると彼の姿をずっと見ていない事に気が付きました。

他の人に聞くといつのまにか彼も消えていた事を知りました。

彼はすり抜け時に周りを一切見ないで全開で行くタイプだったのですが、ついにタクシーと接触事故を起こしたとの事。

幸い体は軽傷でバイクはタンクをベッコリ凹ました程度で済んだので翌日からも普通に仕事していたようなのですが、その数日後に今度は歩行者との人身事故を起こしてしまい免停となり、そのまま彼も消えていきました。

 

やっぱり無事故が一番偉い

 

当時の業界はとにかく速さが一番で安全運転は二の次という印象でした。

仲間内の会話も「銀座から西新宿まで１０分で行った」とかそんな自慢話が多かったです。

でも事故ってしまったら全てがパァです。

当時の仲間にスーパーカブで配達していて、運転は非常に慎重で速さは全くない人が居たのですが、思えば彼こそが正しいバイク便の姿だったんだと思います。

あれから２０年近く経って様々なトラブルは経験しましたが、大きな事故も無くここまで来れたのは、あの時の教訓が生かされているのでしょうね。

 

さて、そんな会社ともある事件が切っ掛けで離れる事になります。

また次回をお楽しみに！